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『婦系図』
青空文庫
妙子は同伴《つれ》も無しにただ一人、学校がえりの態《なり》で、八丁堀のとある路地へ入って来た。
通うその学校は、麹町辺であるが、どこをどう廻ったのか、真砂町の嬢さんがこの辺へ来るのは、旅行をするようなもので、野山を越えてはるばると……近所で温習《なら》っている三味線《さみせん》も、旅の衣はすずかけの、旅の衣はすずかけの。
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