検索結果詳細


 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

「また、今時に珍しい、学校でも、倫理、道徳、修身の方を御研究もなされば、お教へもなさいます、学士が至つての御孝心、予て評判な方で、嫁御をいたはる傍の目には、些と弱過ぎると思ふほどなのでございますから、困じ果てて、何とも申しわけも面目もなけれども、とに角一度、此の土地へ来て貰ひたい。万事はその上で。と言ふ――学士先生から画師さんへのお頼みでございます。
 さて、これは決闘状より可恐しい。……勿論、村でも不義ものの面へ、唾と石とを、人間の道のためとか申して騒ぐ方が多い真中でございますから。……どの面さげて画師さんが奈良井へ二度面がさらされませう、旦那。」

 278/330 279/330 280/330


  [Index]