検索結果詳細
『婦系図』
青空文庫
枕についた肩細く、半ば掻巻を藻脱けた姿の、空蝉《うつせみ》のあわれな胸を、痩せた手でしっかりと、浴衣に襲《かさ》ねた寝衣《ねまき》の襟の、はだかったのを切なそうに掴みながら、銀杏返しの鬢の崩れを、引結《ひきゆわ》えた頭《かしら》重げに、透通るように色の白い、鼻筋の通った
顔
を、がっくりと肩につけて、吻《ほっ》と今呼吸《いき》をしたのはお蔦である。
2802/3954
2803/3954
2804/3954
[Index]