検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

「小母さん、あの、お蔦さんが煩らっていらっしゃる事は、私は知らなかったんですから、お見舞じゃないの、あのね、あの、お土産に、私、極りが悪いわ。何にも有りませんから、毛糸で何か編んで上げようと思ったのよ。
 だけれども何が可いか、ちっとも分らないでしょう。粋な芸者衆《しゅ》だから、ハイカラなものは不可《いけな》いでしょう。靴足袋も、手袋も、銀貨入も、そんなものじゃ仕方が無いから、これをね、私、極りが悪いけれども持って来ました。小さんから上げて頂戴。」

 2851/3954 2852/3954 2853/3954


  [Index]