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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「直きその、向う手を分け上りますのが、山一ツ秋谷在へ近道で
ござ
りまして、馬車《うまくるま》こそ通いませぬけれども、私《わし》などは夜さり店を了いますると、お菓子、水菓子、商物《あきないもの》だけを風呂敷包、ト背負《しょ》いまして、片手に薬缶《やかん》を提げたなりで、夕焼にお前様、影をのびのび長々と、曲った腰も、楽々小屋へと帰りますがの。
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