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『天守物語』
泉鏡花を読む
図書 百年以来、二重三重までは格別、当お天守五重までは、生あるものの参つた例はありませぬ。今宵、大殿《おほとの》の仰せに依つて、私、見届けに参りました。
夫人 それだけの事か。
図書 かつまた、大殿様、御秘蔵の、日本一の鷹がそれまして、お天守の此のあたりへ隠れました。行方を求めよとの御意でございます。
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