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 『天守物語』 泉鏡花を読む

夫人 それだけの事か。
図書 かつまた、大殿様、御秘蔵の、日本一の鷹がそれまして、お天守の此のあたりへ隠れました。行方を求めよとの御意でございます。
夫人 翼あるものは、人間ほど不自由ではない。千里、五百里、勝手な処へ飛ぶ、とお言ひなさるがよい。――用はそれだけか。

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