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『婦系図』
青空文庫
と、お蔦は俯向いた小芳を起して、膝突合わせて居直ったが、頬を薄蒼う染《そむ》るまでその半襟を咽喉《のど》に当てて、頤深く熟《じっ》と圧えた、浴衣に映る紫栄えて、血を吐く胸の美しさよ。
「私が
死
んだら、姉さん、経帷子も何にも要らない、お嬢さんに頂いた、この半襟を掛けさしておくれよ、頼んだよ。」
と云う下から、桔梗を走る露に似て、玉か、はらはらと襟を走る。
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