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『婦系図』
青空文庫
「私が死んだら、姉さん、経帷子も何にも要らない、お嬢さんに頂いた、この半襟を掛けさしておくれよ、頼んだよ。」
と云う下から、桔梗を走る露に似て、玉か、はらはらと襟を走る。
「ええ、お前さん、そんな、まあ、拗《す》ねたような事をお言いでない。お嬢さんのお志、私、私なんざ、今頂いた御祝儀を資本《もとで》にして、銀行を建てるんです。そして借金を返してね、綺麗に芸者を止すんだよ。」
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