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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 爺《じじい》どのは爺どので、息を詰めた汗の処へ、今のきゃあ! で転倒して、わっ、というて山の根から飛出す処へ、胸を頭突《づつき》に来るように、ドンと嘉吉が打附《ぶつか》ったので、両方へ間を置いて、この街道の真中へ、何と、お前様、見られた図でござりますか。
 二人とも尻餅じゃ。
 (ど、どうした野郎、)と小腹も立つ、爺どのが恐怖《おっかな》紛れに、がならっしゃると、早や、変でござりましたげな、きょろん、とした眼《がん》の見据えて、私《わし》が爺《じじい》の宰八の顔をじろり。

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