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 『縁結び』 青空文庫

 山の端《は》の月に映《えい》じて、ただ独り彳《たたず》みたり。……これからよ、南無妙。
 女ちと打笑うて、嬉《うれ》しや候。さらば御桟敷《おんさじき》へ参り候《そうら》わんと云いて、跡《あと》に付きてぞ歩みける。羅綺《らき》にだも不勝姿《たえざるすがた》、誠《まこと》に物痛《ものいたわ》しく、まだ一足も土をば不蹈人《ふまざるひと》よと覚えて、南無妙。

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