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『絵本の春』
青空文庫
もとの邸町《やしきまち》の、荒果てた土塀が今もそのままになっている。……雪が消えて、まだ間もない、乾いたばかりの――山国で――石のごつごつした狭い小路が、霞みながら一条《ひとすじ》煙のように、ぼっと黄昏《たそが》れて行《ゆ》く。
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