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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

「むゝ、む。」と言ふ境の声は、氷を頬張つたやうに咽喉に支へた。
「畳のへりが、桔梗でいやうに見えました。
 (えゝ、勿体ないほどお似合で。)と言ふのを聞いて、懐紙をおのけに成ると、眉のあとがいま剃立ての真青で、……(桔梗ヶ池の奥様とは?)――(お姉妹……いや一倍お綺麗で。)と罰もあたれ、然う申さずには居られなかつたのでございます。

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