検索結果詳細


 『天守物語』 泉鏡花を読む

図書 いや、私が参らぬ以上は、五十万石のご家中、誰一人参りますものはございますまい。皆生命《いのち》が大切でございますから。
夫人 お前は、そして、生命は欲《ほし》うなかつたのか。
図書 私は、仔細あつて、殿様の御不興を受け、お目通《めどほり》を遠ざけられ閉門の処《ところ》、話もお天守へ上りますものがないために、急にお呼出しでございました。その御上使は、実は私に切腹仰せつけの処を、急に御模様がへになつたのでございます。

 300/480 301/480 302/480


  [Index]