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 『春昼』 泉鏡花を読む

 別に何んにもありませんので、親仁殿は惜気もなく打覆して、最う一箇あつた、それも甕で、奥の方へ縦に二ツ並んで居たと申します――さあ、此の方が真物でござつた。
 開けかけた蓋を慌てて圧へて、きよろ/\と其処等〓《みまは》したさうでございますよ。
 傍に居て覗き込んで居た、自分の小児をさへ、睨むやうにして、じろりと見ながら、何う悠々と、肌なぞを入れて居られませう。

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