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 『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

 (お艶さん、私は然う存じます。私が、貴女ほどおしければ、こんな女房がついて居ます。何の夫が、木曽街道の女なんぞに。と姦通呼はりをする其の婆に、然う言つて遣るのが一番早分りがすると思ひます。)(えゝ、何よりですともさ。それよりか、尚ほ其上に、お妾でさへ此のくらゐだ。と言つて私を見せて遣ります方が、上に尚ほ奥さんと言ふ、奥行があつて可うございます。――奥さんのほかに、私ほどのいろがついて居ます。田舎で意地ぎたなをするもんですか。婆に然う言つてやりませうよ。そのお嫁さんのためにも。)

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