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『婦系図』
青空文庫
朝涼《あさすず》の内に支度が出来て、そよそよと風が渡る、袖がひたひたと腕《かいな》に靡いて、引緊《ひきしま》った白の衣紋着《えもんつき》。車を彩る青葉の緑、鼈甲の中指《なかざし》に影が透く艶やかな円髷《まるまげ》で、誰にも似ない瓜核
顔
《うりざねがお》、気高く颯と乗出した処は、きりりとして、しかも優しく、媚かず温柔《おっとり》して、河野一族第一の品。
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