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 『婦系図』 青空文庫

 嗜《たしなみ》も気風もこれであるから、院長の夫人よりも、大店向《おおだなむき》の御新姐《ごしんぞ》らしい。はたそれ途中一土手田畝道《たんぼみち》へかかって、青田越《ごし》に富士の山に対した景色は、慈善市《バザア》へ出掛ける貴女《レディ》とよりは、浅間の社へ御代参の御守殿という風があった。
 車は病院所在地の横田の方から、この田畝を越して、城の裏通りを走ったが、突《つっ》かけ若竹座へは行くのでなく、やがて西草深へ挽込《ひきこ》んで、楫棒《かじぼう》は島山の門の、例の石橋の際に着く。

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