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『五大力』
従吾所好
「えゝ、直き其処の弁天様へお詣〈まゐり〉なすつて、お帰りがけに、此の裏路を通つたぢやありませんか、私よく見て知つて居ますわ……」
と云ふ、何故か沈んだ言〈ものいひ〉であつた。
「でもね、昼間でしたから、うつかり声なんぞ掛けては、お悪からうと思つて、黙つて、密とお見送り申しましたの。些ともお変りなさらないわねえ、羨しい事。
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