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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
大小濃薄乱雑に、半ばかきさしたのもあり、歪んだのもあり、震へたのもあり、やめたのもあるが、○と□△ばかり。
「ね、上手でせう。此処等の人達は、貴下、玉脇では、絵を描くと申しますとさ。此の土手へ出ちや、何時までも恁うして居ますのに、唯居ては、谷戸口の番人のやうでをかしう
ござ
んすから、いつかツからはじめたんですわ。
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