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『星あかり』
泉鏡花を読む
引き息で飛着いた、本堂の戸を、力まかせにがたぴしと開ける、屋根の上で、ガラ/\ガラといふ響。瓦が残らず飛上がつて、舞立つて、乱合つて、打破れた音がしたので、はツと思ふと、目が眩むで、耳が聞えなくなつた。が、うツかりした、疲れ果てた、倒れさうな自分の身体は、……夢中で、色の褪せた、天井の低い、皺だらけな蚊帳の片隅を掴んで、暗くなつた灯の影に、透かして蚊帳の内を覗いた。
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