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『日本橋』
青空文庫
時に二割方家賃をあげた。近所では驚いた。差配の肚は大きかった。
すぐに引越し蕎麦を大蒸籠で配ったのが、微酔のお孝であった。……抱妓が五人と分が二人、雛妓が二人、それと台所と婢の同勢、蜀山兀として阿房宮、富士の霞に日の出の勢、
紅
白粉が小溝に溢れて、羽目から友染がはみ出すばかり、芳町の前の住居が、手狭となって、ここに鏡台の月を移して、花の島田を纏めたものが。
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