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『婦系図』
青空文庫
と言う顔を斜めに視て、
「ですから、そんな打破《ぶちこわ》しをしないでも、妙子さんさえ下さると、円満に納まるばかりか、私も、どんなにか気が易《やす》まって、良心の呵責を免れることが出来ますッて云うのにね。肯《き》きますまい! それが無情だ、と云うんだわ。名誉も何も捧げている婦《おんな》の願いじゃ
ありません
か、肯いてくれたって可いんだわ。」
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