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 『婦系図』 青空文庫

「ですから、そんな打破《ぶちこわ》しをしないでも、妙子さんさえ下さると、円満に納まるばかりか、私も、どんなにか気が易《やす》まって、良心の呵責を免れることが出来ますッて云うのにね。肯《き》きますまい! それが無情だ、と云うんだわ。名誉も何も捧げている婦《おんな》の願いじゃありませんか、肯いてくれたって可いんだわ。」
「(名誉も何も)とおっしゃるんだ。」
「ああ、そうよ。」と捩向《ねじむ》いて清《すずし》く目を〓《みひら》く。

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