検索結果詳細
『婦系図』
青空文庫
大巌山の幻が、闇《やみ》の気勢《けはい》に目を圧えて、用水の音凄《すさま》じく、地を揺《ゆ》るごとく聞えた時、道子は俤さえ、衣《きぬ》の色さえ、有るか無きかの声して、
「夢ではないのでしょうかしら。宙を歩行《ある》きますようで、ふらふらして、倒れそうでなりません。早瀬さん、お袖につかまらして下さいまし。」
「しっかりと! 可い塩梅に人通りもありませんから。」
3481/3954
3482/3954
3483/3954
[Index]