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 『龍潭譚』 青空文庫


 さきにわれ泣きいだして救《すくい》を姉にもとめしを、渠《かれ》に認められしぞ幸《さいわい》なる。いふことを肯かで一人いで来しを、弱りて泣きたりと知られむには、さもこそとて笑はれなむ。優しき人のなつかしけれど、をあはせていひまけむは口惜しきに。

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