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『龍潭譚』
青空文庫
嬉しく喜ばしき思ひ胸にみちては、また急に家に帰らむとはおもはず。ひとり境内に彳みしに、わツといふ声、笑ふ声、木の蔭、井戸の裏、堂の奥、廻廊の下よりして、五ツより八ツまでなる児の五、六人前後《あとさき》に走り出でたり、こはかくれ遊びの一人《いちにん》が見いだされたるものぞとよ。二人三人《ふたりみたり》走り来て、わが其処に立てるを見つ。皆瞳を集めしが、
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