検索結果詳細


 『夜叉ヶ池』 青空文庫

夜叉ヶ池の白雪姫。雪なす羅《うすもの》、水色の地に紅《くれない》の焔《ほのお》を染めたる襲衣《したがさね》、黒漆《こくしつ》に銀泥《ぎんでい》、鱗《うろこ》の帯、下締《したじめ》なし、裳《もすそ》をすらりと、黒髪長く、丈に余る。銀《しろがね》の靴をはき、帯腰に玉のごとく光輝く鉄杖《てつじょう》をはさみ持てり。両手にひろげし玉章《たまずさ》を颯《さっ》と繰落して、地摺《ちずり》に取る。
右に、湯尾峠の万年姥《まんねんうば》。針のごとき白髪《しらが》、朽葉色《くちばいろ》の帷子《かたびら》、前垂《あかまえだれ》。
左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄《もえぎ》の紋付《もんつき》、文金の高髷《たかまげ》に緋《ひ》の乙女椿の花を挿す。両方に手を支《つ》いて附添う。

 349/564 350/564 351/564


  [Index]