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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

右に、湯尾峠の万年姥《まんねんうば》。針のごとき白髪《しらが》、朽葉色《くちばいろ》の帷子《かたびら》、赤前垂《あかまえだれ》。
左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄《もえぎ》の紋付《もんつき》、文金の高髷《たかまげ》に緋《ひ》の乙女椿の花を挿す。両方に手を支《つ》いて附添う。
十五夜の月出づ。

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