検索結果詳細
『天守物語』
泉鏡花を読む
夫人 おはなむけがあるので
ござ
んす。――人間は疑《うたがひ》深い。卑怯な、臆病な、我儘《わがまゝ》な、殿様などは尚の事。貴方が此の五重へ上つて、此の私を認めたことを誰も真個《ほんたう》にはせぬであらう。清い、爽かな貴方のために、記念《しるし》の品をあげませう。(静《しづか》に以前の兜を取る)――これを、其の記念《しるし》にお持ちなさいまし。
361/480
362/480
363/480
[Index]