検索結果詳細


 『天守物語』 泉鏡花を読む

図書 存じも寄らぬ御たまもの、姫君に向ひ、御辞退は却つて失礼。余り尊い、天晴《あつぺれ》な御兜。
夫人 金銀は堆《うづたか》けれど、そんなにいゝ細工ではありません。しかし、武田には大切な道具。――貴方あなた、見覚えがありますか。
図書 (疑《うたがひ》の目を凝《こら》しつゝあり)まさかとは存ずるなり、私とても年に一度、虫干《むしぼし》の外には拝《はい》しませぬが、ようも似ました、お家の重宝、青龍の御兜。

 363/480 364/480 365/480


  [Index]