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 『天守物語』 泉鏡花を読む

夫人 金銀は堆《うづたか》けれど、そんなにいゝ細工ではありません。しかし、武田には大切な道具。――貴方あなた、見覚えがありますか。
図書 (疑《うたがひ》の目を凝《こら》しつゝあり)まさかとは存ずるなり、私とても年に一度、虫干《むしぼし》の外には拝《はい》しませぬが、ようも似ました、お家の重宝、青龍の御兜。

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