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 『天守物語』 泉鏡花を読む

図書 (疑《うたがひ》の目を凝《こら》しつゝあり)まさかとは存ずるなり、私とても年に一度、虫干《むしぼし》の外には拝《はい》しませぬが、ようも似ました、お家の重宝、青龍の御兜。
夫人 まつたく、それに違ひありません
図書 (愕然とす。急に)此にこそ足の爪立つばかり、心急ぎがいたします、御暇《おいとま》を申《まをし》うけます。

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