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 『婦系図』 青空文庫

(死んだか、)と聞いて、女房のお増に流眄《しりめ》にかけられ、
(まだか、)と問うて、また睨《ね》めつけられ、苦笑いをしては引込《ひっこ》んで控えたのが――大先生の前なり、やがて仏になる人の枕許、謹しんで這って出て、ひょいと立上って蛍籠を外すと、居すくまった腰が据《すわ》らず、ひょろり、で、ドンと縁へ尻餅。魂が砕けたように、胸へ乱れて、颯と光った、籠の蛍に、ハット思う処を、

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