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 『春昼』 泉鏡花を読む

「其の癖恐いもの見たさに立留まつて見て居ると、何ぢやないか、やがて半分ばかり垣根へ入つて、尾を水の中へばたりと落して、鎌首を、あの羽目板へ入れたらうぢやないか。羽目の中は、見た処湯殿らしい。それとも台所かも知れないが、何しろ、内にや少い女たちの声がするから、どんな事で吃驚しまいものでもない、と思ひます。
 あれツ切、座敷へなり、納戸へなりのたくり込めば、一も二もありやしない。それまでと云ふもんだけれど、何処か板の間にとぐろでも巻いて居る処へ、うつかり出会したら難儀だらう。

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