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『高野聖』
泉鏡花を読む
愚図々々しては居られぬから、我身を笑ひつけて、先づ乗つた。引かゝるやう、刻が入れてあるのぢやから、気さへ確なら足駄でも歩行かれる。
其がさ、一件ぢやから耐らぬて、乗ると恁うぐら/\して柔かにずる/\と這いさうぢやから、わつといふと引跨いで腰をどさり。
(あゝ、意気地はございませんねえ。足駄では無理でございませう、是とお穿き換へなさいまし、あれさ、ちやんといふことを肯くんですよ。)
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