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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 其がさ、一件ぢやから耐らぬて、乗ると恁うぐら/\して柔かにずる/\と這いさうぢやから、わつといふと引跨いで腰をどさり。
(あゝ、意気地はございませんねえ。足駄では無理でございませう、是とお穿き換へなさいまし、あれさ、ちやんといふことを肯くんですよ。)

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