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『婦系図』
青空文庫
日盛りの田畝道《たんぼみち》には、草の影も無く、人も見えぬ。村々では、朝から蔀を下ろして、羽目を塞いだのさえ少くない。田舎は律義で、日蝕は日の煩いとて、その影には毒あり、光には
魔
あり、熱には病《やまい》ありと言伝える。さらぬだにその年は九分九厘、ほとんど皆既蝕と云うのであった。
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