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『国貞えがく』 青空文庫
この辺《あたり》からは、峰の松に遮られるから、その姿は見えぬ。最《も》っと乾の位置で、町端《まちはずれ》の方へ退《さが》ると、近山《ちかやま》の背後《うしろ》に海がありそうな雲を隔てて、山の形が歴然《ありあり》と見える。……
汽車が通じてから、はじめて帰ったので、停車場《ステエション》を出た所の、故郷《ふるさと》は、と一目見ると、石を置いた屋根より、赤く塗った柱より、先ずその山を見て、暫時《しばらく》茫然として彳んだのは、つい二、三日前の事であった。
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