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『婦系図』 青空文庫
可愛い娘たちを玉に使って、月給高で、婿を選んで、一家《いっけ》の繁昌《はんじょう》とは何事だろう。
たまたま人間に生を受けて、しかも別嬪に生れたものを、一生にたった一度、生命《いのち》とはつりがえの、色も恋も知らせねえで、盲鳥《めくらどり》を占めるように野郎の懐へ捻込《ねじこ》んで、いや、貞女になれ、賢母になれ、良妻になれ、と云ったって、手品の種を通わせやしめえし、そう、うまく行くものか。
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