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 『婦系図』 青空文庫

 たまたま人間に生を受けて、しかも別嬪に生れたものを、一生にたった一度、生命《いのち》とはつりがえの、色も恋も知らせねえで、盲鳥《めくらどり》を占めるように野郎の懐へ捻込《ねじこ》んで、いや、貞女になれ、賢母になれ、良妻になれ、と云ったって、手品の種を通わせやしめえし、そう、うまく行くものか。
 見たが可い、こう、己《おれ》が腕がちょいと触ると、学校や、道学者が、新粉《しんこ》細工で拵《こしら》えた、貞女も賢も良妻も、ばたばたと将棊倒しだ。」

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