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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「お可哀相に、初産で、その晩、のう。
 厭な事でござります。黒門へ着かしって、産所へ据えよう、としますとの、それ、出養生の嬢様の、お産の床と同一《おんなじ》じゃ。(ああ、青い顱巻《はちまき》をした方が、寝てでござんす、些と傍へ)と……まあ、難産の嫁御がそう言わしっけ。

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