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 『縁結び』 青空文庫

「母様《おっかさん》の顔は、姉さんの姿は、私の、謙造の胸にある!」
 とじっと見詰《みつ》めると、恍惚《うっとり》した雪のようなお君の顔の、しく優しい眉《まゆ》のあたりを、ちらちらと蝶《ちょう》のように、紫の影が行交《ゆきか》うと思うと、菫《すみれ》の薫《かおり》がはっとして、やがて縋《すが》った手に力が入った。

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