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 『春昼』 泉鏡花を読む

「今度は反対に、浜の方から帰つて来るのと、浜へ出ようとする御新姐と、例の出口の処で逢つたと言ひます。
 大分最う薄暗くなつて居ましたさうで……土用あけからは、目に立つて日が詰ります処へ、一度は一度と、散歩のお帰りが遅くなつて、蚊遣りでも我慢が出来ず、私が此処へ蚊帳を釣つて潜込んでから、帰つて見えて、晩飯も最う、なぞと言はれるさへ折々の事。

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