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『春昼』 泉鏡花を読む
大分最う薄暗くなつて居ましたさうで……土用あけからは、目に立つて日が詰ります処へ、一度は一度と、散歩のお帰りが遅くなつて、蚊遣りでも我慢が出来ず、私が此処へ蚊帳を釣つて潜込んでから、帰つて見えて、晩飯も最う、なぞと言はれるさへ折々の事。
爾時も、早や黄昏の、とある、人顔、朧ながら月が出たやうに、見違へない其人と、思ふと、男が五人、中に主人も居たでありませう。婦人は唯御新姐一人、それを取巻く如くにして、どや/\と些と急足で、浪打際の方へ通つたが、其の人数ぢや、空頼めの、余所ながら目礼処の騒ぎかい、貴下、其の五人の男と云ふのが、」
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