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『日本橋』 青空文庫
ええ、姉さんのだ、嘘をお吐き。……いいえ、姉さんがまた吩咐けたって、口ばかりさ、直ぐに忘れて、きょとんとしている事は知ってるじゃないか。そして、食べさしちゃ悪いんだ。狂女に食ものッてね、むしゃむしゃ食散らかされて堪るものかな。
食べると水膨んだよ。……あの上|水膨れちゃ、御当人より傍のものが助からないよ。人が乾殺しでもするように、陰へ廻っちゃ出過ぎたがる。姉さんもまた、人聞きの悪いほど、何だかだって食べたがる。精々何にも当飼わないで、咽喉腹を乾しとかないと、この上また何かの始末でもさせられるようじゃどうすると思うんだ。」
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