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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
深く考ふるまでもなく、庵の客と玉脇の妻との間には、不可思議の感応で、夢の契があつたらしい。
男は真先に世間外に、はた世間のあるのを知つて、空想をして実現せしむがために、身を以つて直ちに幽冥に趣いたもののやうであるが、婦人は未だ半信半疑で居るのは、それとなく胸中の鬱悶を漏らした、未来があるものと定り、霊魂の行末が極つたら、直ぐにあとを追はうと言つた、言の端にも顕れて居た。
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