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『婦系図』
青空文庫
半纏は薄汚れ、腹掛の色が褪せ、三尺が捻《ね》じくれて、股引《ももひき》は縮んだ、が、盤台は美《うつくし》い。
いつもの向顱巻《むこうはちまき》が、四五日陽気がほかほかするので、ひしゃげ帽子を蓮の葉かぶり、ちっとも涼しそうには見えぬ。例によって飲《き》こしめした、朝から
赤
ら顔の、とろんとした目で、お蔦がそこに居るのを見て、
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