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 『春昼』 泉鏡花を読む

「眉の太い、怒り鼻のがあり、額の広い、顎の尖つた、下目で睨むやうなのがあり、仰向けざまになつて、頬髯の中へ、煙も出さず葉巻を突込んで居るのがある。くるりと尻を引捲つて、扇子で叩いたものもある。どれも浴衣がけの下司は可いが、其の中に浅黄の兵児帯、結目をぶらりと二尺ぐらゐ、こぶらの辺までぶら下げたのと、緋縮緬の扱帯をぐる/\巻きに胸高は沙汰の限。前のは御自分ものであらうが、扱帯の先生は、酒の上で、小間使のを分捕の次第らしい。

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