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 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 停車場に演劇がある、町も村も引つぷるつて誰が角兵衛に取合はう。あはれ人の中のぼうふらのやうな忙しい稼業の児たち、今日はおのづから閑なのである。
 二人は此処でも後になり先になり、脚絆の足を入れ違ひに、頭を組んで浪を被ぐばかり浪打際を歩行いたが、やがて其の大きい方は、五六尺渚を放れて、日影の如く散乱れた、かじめの中へ、草鞋を突出して休んだ。

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